Rail or Fly

レールに乗るのか、飛び降りるのか、迷っているきみに届けたい。

インターネットは、自分の仲間を見つけるためのツールだと思う。

昨日はブログで知り合った高校生の方とスカイプで話をしていた。

 

その中で出てきたのは、「インターネットで知り合った人とリアルで会うことに、どれだけの抵抗があるのか」という話題だった。

 

「ネットからリアル店舗へ、あるいはリアルからネットへ」ということを意味するO2Oなる用語がマーケティングの世界で盛んに叫ばれるようになった現代においても、個人レベルでインターネットで知り合った人とリアルで会うということに抵抗のある人は、非常に多い。

 

事実、スカイプをした彼女も「普通は出会い系かと思っちゃいますよね」と言っていたし、まだまだ「ネットで人と会う」というのはハードルの高い行為のようだ。

 

もちろん僕にも、ニコニコ生放送で人を集めてオフ会をしたり、SNS経由でバンバン人と出会ってネットワークを広げたりしてる友達は、何人かいる。

 

しかし、これは誰にでもできることではない。何がしかに突出していなければ、「見知らぬ人」という障壁を突破して人を惹きつけるコンテンツをつくることはできないし、「遠慮」や「自分は相手に何が与えられるのか」という点を(良い意味で)無視できる人でなければ、いきなり知らない人にメッセージを送りつけて「会いませんか?」などと言うことはできないからだ。

 

 

 

一方で、ブログを書いていく中で、インターネットが少数派な(あるいは少数派だと思い込んでいた)自分をどれだけ勇気づけてきてくれたか、どれだけ仲間をもたらしてくれたかははかり知れない。

 

人の生き方や価値観がますます細分化し個別化していくこれからの時代において、「インターネットで仲間を見つけること」の重要性は、どんどん高まってゆくだろう。

 

生物でいえば、異なる場所にいるということは、たいてい異なる種であるということだ。異なる種に分化する道筋の中で、まず地理的な隔離を経験し、その後生殖的な隔離を経験する(もちろん地理的な要因以外にも生殖的隔離を獲得するケースはあるけれども)。

 

インターネットは、この「地理的隔離」「生殖的隔離」の話に象徴されるような、離れた場所にいて仲間になるなど想像もつかなかった人同士を、一瞬にして結び付けるのだ。

 

だから僕は、「インターネットで人と出会う」ということが、もっともっと多くの人にとって普通のことになってほしいと願う。

 

特別な才能を持つ人や、「出会い系」として使う人ではない、普通の人のために、インターネットは存在しているはずなのだ。

 

 

 

じゃあ、「インターネットで人と出会う」ことが普通のこととなるためには、どんなことが必要なのだろうか?

 

それは、「相手を一人の人間として捉え、自分を一人の人間として捉えてもらう」ということだと思う。

 

インターネットを性欲のはけ口として使う人間は、相手など誰でもいいと考えている。

 

それは、「出会い系」という言葉が象徴している。

 

「出会い系」という言葉には、相手が誰であるかを気にしているというニュアンスは一切感じられない。本来「誰々と」という目的語が必要となる言葉が、とりあえず「出会う」ことが重要なのだ、というものに変質してしまっている。

 

その意味では、もっと「相手」を感じさせる言葉を作ってしまえば、「手あたり次第に出会う」というニュアンスが消えるのかもしれない。

 

 

 

「相手のことを一個人として捉える」一方で、「自分のことを一個人として捉えてもらう」こともまた必要だ。

 

僕がこれまでブログを通して出会ってきた方々に言われるのは、「あれだけ率直に自分の気持ちを書いているから、信用できると思った」という言葉である。

 

「本名が出ているかどうか」「所属企業が記載されているかどうか」というのが、インターネットで人を信用する時の一般的な判断基準なのかもしれないが、そのあたりの個人情報が書いていなくても、インターネット上で人から信用されることは可能なのだ。

 

そのためには、自分の価値観をさらけ出すことだ。

 

正直、一度インターネットに個人情報を書き込むと容易に消せないという現状がある以上、「匿名で発信しながらも周りから信用を得て仲間をつくる」というスタンスは、これからどんどん必要になってくるのではないかと思う。

 

自分の価値観を表現し、自分という人間を少しでも理解してもらえる準備を整えておくこと。それが、「自分を一個人として捉えてもらう」ことにつながると思う。

 

 

 

「インターネットで仲間を作る」。易しい人にはとことん易しく、難しい人にはどこまでも難しい、この命題。

 

きっと僕が今日書いたようなことも、ネットで人と出会うのが当たり前の人なら「そんなの言うまでもないんじゃない?」って思うようなことだろう。

 

だが、僕自身が元々気軽にインターネットで人と出会うようなタイプの人間ではなかったことや、インターネットで出会った多くの人たちから「こんな形で人と出会ったのは初めてです」と言ってもらえたことから、「普通の人」にこそ、インターネットで人と出会うということは必要なのだと僕は確信している。

 

僕の言葉は切れ味の悪いナイフのようなもので、何度も何度も同じことを世の中に叩きつけ続けなければ、伝えたいことは伝わらないのかもしれない。

 

それでも、いつかまたもう1人、自分の言葉が伝わることを信じて、今日も精一杯文章を書こうと思う。