Rail or Fly

レールに乗るのか、飛び降りるのか、迷っているきみに届けたい。

大学を2年遅れた男の孤独な就活(広告志望な方にもそうでない方にも)

今日は、就職活動を振り返って何か有益な情報を読者の方に提供したいと思って記事を書く。

まあ、掲題の通りなのだが、インドに長期滞在していた関係上、僕は同期の人たちから2年遅れで就職活動をした。

「孤独な」就職活動だった、と言っていいと思う。孤独というのはつまり、インドに行く前から知り合いだった人たちで今年就職活動をしていた人がほとんどいなかった、ということだ。

一方、インドから帰国したのは8月の中旬で、就活生の仲間が一番できやすい「夏のインターン」の時期は既に終わりかけていた。

というわけで、「我こそは孤独な就活生だ」と思う方には、少しは参考になる内容かもしれない。

インターネット上には、学生団体や社会人の運営している就活指南サイトがたくさんあふれているし、「どうやったら内定が取れるか」みたいなハウツーを求めている方は、そちらをあたる方が良いと思う。



したがって、今日の話題はすべて「孤独な就活生」のためのものだ。お品書きは以下の通り。

・孤独な就活生が、ヨコのつながり(他の学生)からの情報無しに、どうやって企業のナマの姿やそこに入った時の自分の適性を見極めていくのか。

・孤独な(地方)就活生が、東京でタダで滞在させてくれる場所を探すにはどうすればよいか。

・孤独な就活生の強い味方、書籍のうち、広告業界志望者に役立ちそうなものは何か。



まずは、企業のナマの姿を知り、自分の適性とすり合わせていく方法について。

就活をしているとよく聞くのが、「拡散」と「収束」のタイミングが大事、という言葉である。

拡散とは、できるだけ幅広く業界や職種、企業を知っていく段階。

収束とは、そうやって知った選択肢を、自分なりの判断基準で絞っていく段階。

1年のうち、いつまでは拡散フェーズで、いつからは収束フェーズだ、ということが決まっているわけではない。個人差もあるだろう。

僕の場合は、1月くらいまでが拡散フェーズ、それ以降が収束フェーズだった。と言っても、徐々に切り替えていった感じ。

受けた企業は30くらいで、拡散フェーズ期に受けたものが多かった。4月以降に受けた企業は、辞退したものを除けば、4つしかない。

重要なのは、自信を持って収束できるように、拡散フェーズのうちに「ここに行きたい!」と思えるような選択肢を増やしておくことだ。



しかし、横のつながりのない「孤独な就活生」には、「こんな企業あるよ」と教えてくれる就活仲間はいない。

インターネットでは、通り一辺の情報しか手に入らず、雰囲気や働き方など、ソフト面についてはわからない。

そこで僕が大いに利用したのが、「逆求人フェスティバル」というイベントである。

逆求人、という名前の通り、学生が求人するわけではなく、企業の側から、興味を持った学生にアプローチしてくれる。

合同説明会で、企業と学生の立ち位置を入れ替えた図を思い浮かべると良いと思う。学生がブースを構えており、その人に興味を持った企業が立ち寄ってくる。学生が自己PRを5分間で述べた後、面談となる。面接みたいに一問一答ということは少ない。

1回のイベントで、6〜9社ほどの人事の方と、それぞれ一対一で30分ほどお話しできる。こんな機会は、普通に就活していてはまずあり得ない。

僕はこのイベントに3回参加し、計25社程度の人事の方とお話しできた。その中には、僕を評価してくださり、選考面で配慮していただいた企業や、人事の方によくしていただき、東京に行った際に何度もお食事をご一緒させていただいた企業もあった。



僕が逆求人で最も素晴らしいと思っていたのは、企業の側からアプローチする、という性質上、「自分の興味ある業界・職種にこだわらず、さまざまな企業・業界を知ることができる」という点である。

このメリットは、拡散フェーズにぴったりなのだ。

僕はなんとなく自分が広告の仕事に興味を持っていると感じていたが、それがなぜなのかは、就職活動の最初の段階ではわからなかった。

そこで、逆求人では、次のことを意識していた。

1、自分のやりたいことを、今お話ししている相手の企業さんで実現するとしたら、どのような方法になるのか?(志望業界を決めるロジックの練成)

2、自分の思ったことを素直に話してみて、どの業界・職種の方と一番直感で通じ合えるか?(志望業界を決めるフィーリングの確認)

(もっと言うと、逆求人だけでなく、OB訪問や面接でも同じことを意識していた。)



まず1について。

多くの人がそうだと思うが、自分のやりたいことは、抽象的だ。どんな仕事でも実現できそうに思える。

僕は就職活動の初期の段階で「物語を創り、人々にそれを届けたいです」と言っていた。わかりやすいところでは、テレビや出版なんかが思い浮かぶだろう。職種で言えば、メーカーの営業という仕事は、その商品に込められた企業側の物語(開発エピソードなど)をクライアントに届ける仕事だとも言えるし、人事という仕事は、企業の理念を学生に届ける仕事だとも言えるだろう。

逆求人では、いろんな業界・企業の方とお話しできるので、自分のやりたいことが「もしその企業に入ったら」どう実現されるのか、といった話が聴ける。

そうやって各社から返ってきた「自分のやりたいことの実現のしかた」を聴いて、「自分はこういう人間だから、やっぱりこの仕事の方が向いてるなぁ」などと取捨選択していくのである。

また、ここで聴ける「自分のやりたいことの実現のしかた」はその企業に実際におられる方の話なので、非常に説得力が高い。仮に後日その企業の面接を受けたとして、逆求人で聴いたことを生かして自分のやりたいことを語って「それはうちの仕事じゃないね」と言われることは、まずないだろう。

学生が自分一人で考えた志望動機は、現実を反映していない夢物語になることが多い。

社会人の話を聴かなくても大丈夫!という自信がある人以外は、こうやって、少しずつ夢物語を現実に落としていくことが必要だと思う。



次に2について。

働く上で、フィーリングというのはとてつもなく大きいと僕は考えている。

友人でも、ツーカーで通じ合える相手もいれば、自分の発言を逐一説明しなければなかなか言いたいことが伝わらない相手もいる。

それは、育ってきたバックグラウンドがどの程度共通しているか、というところに由来するのだと思う。

同じ学校に行き、同じ人と触れ、同じ部活に所属し、同じ本や音楽を聴き…といった人とは話が合う、ということはよくある話だ。

所属している組織(学校のクラスでも、あるいはサークルでも)において、自分の思いをストレスなく伝えられるかどうか、というのはものすごく重要だ。会社においてもそれは同じだろう。

逆求人の場合、お話しする人事の方は、いずれも初対面の方だ。だから、自分がそこの企業・業界に合うのかどうか、非常に比べやすい(友人AとBのどちらが自分と直感的にわかり合うか、ということを比べるのは、これまで一緒にいた時間という要素が大きく関わってくるので、比べにくい)。

僕の場合、何であれ広告業界に携わっておられる方とお話しするのが、一番楽しかった。だからたぶん、自分は広告の会社に入るのが良いんだろうな、と改めて思ったのだ。



と、僕の場合は「逆求人フェスティバル」というイベントを最大限活用させてもらい、ほぼ広告業界一本で就職活動をしていた。

こうして拡散フェーズが終わった後は、収束させていくだけ。それぞれの選択肢を見比べながら、最善と思われる判断をするだけだ。

収束フェーズについては、個々人で大切にする基準は異なるし、特に言うことはない。



次に、話題をガラッと変えて、孤独な就活生(地方在住)が直面する課題、「東京での滞在場所の確保のしかた」について書く。

前提として、「リアルな友人が東京に住んでいない人」が対象であることをご留意いただきたい。全国津々浦々に友達がいていつでもどこでも何度でもお泊りオッケー、みたいな人は対象にしていません。

僕は、Twitterで知り合った学生たちの家によく泊まらせてもらっていた。

彼らには、本当に感謝している。おそらく読んでくれているだろうから、ここでもお礼を言っておく。ありがとうございます。

どうやってそんな場所を確保するのだ、というと、フォロワーが一定数いる人なら、Twitterで「ゆるぼ」と称して、「今夜東京に行くのですが、泊めていただける方はおられませんか?」と一言つぶやくだけだ。

あるいは、TwitterFacebookなどのSNSで、ピンポイントで東京に住んでいる人とやり取りをさせてもらい、「厚かましいですが、泊めていただくことってできませんか?」とお願いしてもいい。もちろん、礼儀は忘れずに。

僕は就職活動を通して、たくさんの方にお世話になった。この世の中は素晴らしいなぁ、と思ったものだ。

なお、どうしても知らない人と知り合って泊めてもらうという行為に抵抗がある方は、こんなサービスもある。僕自身は利用したことがないけれども、直接の友人が「良かった」と言っていたので、おススメだと思う。

ソーシャルアパートメント:就職活動で東京に来る学生さんに無償で「ソーシャルアパートメント」の寝床を提供します

就トモCafe:就トモCafe

あとは、たまに漫画喫茶に泊まるのも楽しかったり…。まあ、孤独感は増しますが、このブログをよく読んで下さる方は、割と孤独が好きな方が多いと勝手に思っているので向いていると思う(笑)



最後に、孤独な就活生が大いに読むであろう書籍について。

これについては、広告業界を志望する人におススメの本3冊を参照されたし。

それ以外にも、「宣伝会議」や「ブレーン」といった広告業界の専門誌は目を通しておくと良いと思う。

もちろん、目を通すだけでなく、いろんな事例を見てその目的やターゲットを学生なりに分析し、さらに自分のやりたいこととしっかり紐付けることが必要だと思う。

あと、宣伝会議が出している「広告界就職ガイド」という本は、本当に広告業界に行きたいと思った人には、その仕事の内容がよくわかるおススメの一冊である。

広告界就職ガイド 2015(宣伝会議)

広告界就職ガイド 2015(宣伝会議)

ちなみに、これは書籍一般に言えることだと思うが、ある本を読んだからといって何かが劇的に向上するものではない。読んだ段階では「知識」として頭に蓄えられているものに自分の経験を絡み合わせ、「あそこで書かれていたことって、こういうことなんじゃないか?」と自分なりに解釈しなおしてみることが、何よりも大事だと思う。





さて、結果論ではあるが、僕の場合「ヨコのつながり」は「内定をもらう」上ではあまり重要ではなかった、と言える。

それは、就職活動で大切なことは、「社会人が理解できる形で自分を表現する」ということに尽きる(と思う)からだ。つまり、タテ方向からのフィードバックを大切にする、ということである。

逆求人やOB訪問、面接といった対話の場を通して、自分が伝えたいことは果たして社会人の目から見て妥当なのか。学生には判断できないその部分について社会人の力を借りる。本を読んで自分なりに考えたことをぶつけてみて、それが的を射ているかどうか聞いてみる。

自分は凡人であると理解して、何十人からでも何百人からでも、フィードバックをもらうのだ。そうすれば、必ずそれだけの効果は上がる。

自己PRや志望動機は、自分だけで考えても単なる夢物語に終わってしまいがちだ。あるいは、誰の心にも刺さらないテンプレートだと受け取られてしまう。それを防ごう。

「大人と話すのが大切だ」と言われる理由は、一つはこういうことなんじゃないかなぁと思う。



今回は、柄にもなくハック的な記事を書いてしまったが、僕と同じく、孤独な中で就職活動を行う方々の参考になれば、と思う。

いつかどこかで、お会いできれば良いですね。



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