Rail or Fly

レールに乗るのか、飛び降りるのか、迷っているきみに届けたい。

「人や社会の役に立ちたい」と、どうしても思えない人へ。

はやいもので、もう2013年も終わりだ。

このブログに移転してから、1年半が経った(2年以上前の記事もあるが、これは移転前のものだ)。

1年半の間で、このブログを読んでくれた人たちから、たくさんメッセージをもらった。コメントやメールで、TwitterなどのSNSで、それから、リアルで。

ブログがなければ生まれなかったであろう素敵な出会いも、いくつもあった。

これまで、何らかの形で僕にブログに関するメッセージをくれた方々には、本当に本当に、感謝している。

なぜなら、僕はそれによって救われているからだ。



僕はもともと、「人や社会の役に立ちたい」という気持ちが、とても薄い人間である。

コミュニケーションは好きだし、他人に対するサービス精神は、むしろ強い方だ。数は少ないけれども、この人のためには、自分はできるだけのことをしたい、と思える人も、ありがたいことに、何人かいる。

そうではなくもっと広く、世のため人のため、何かエラいことをやる、ということに、僕はどうも興味が持てないのだ。

例えば、ボランティアとか、難病を根絶させる薬の発明とか、世の中を変える起業とかね。

そもそも理学部という、「自分の好奇心ありきで研究を進める学部」を選んでいる時点で、「人や社会の役に立ちたい」という気持ちが希薄なのは、明らかだ。

冷たいヤツ、なのかもしれない。

でも、しかたない。それが自分の、偽らざる気持ちだから。



さて、「将来何をして生きていこうか」と考えることは、「自分は誰にどんなふうに役に立ってお金をもらおうか」と考えることと同じである。誰かの役に立つことで、対価としてお金をもらえるからだ。

大学3年生になったくらいの頃だっただろうか。僕はここで、はて、と行き詰ってしまった。

僕は、別に誰の役にも立ちたいと思えない。(僕は人や世を変えることに興味ないんだ。 参照)

もちろん、身近な人たちは別だ。そういう意味ではない。

例えば、化粧品メーカーは、美しくなりたいという人たちのためにモノをつくっている。鉄道インフラは、移動のための手段を提供している。マンションや一戸建てを手掛ける不動産会社は、生活の拠点をつくりだす。

特定の困っている人たちを助けてあげて、その代わりにお金を得る。ビジネスとは、そういうことだ。

就職活動をかじってはみたものの、僕には、どんな業界も、ぴんとこなかった。それは、誰の役に立ちたいという気持ちが、どうにも自分の中に見当たらなかったからだ。



休学して、インドで働いた。前のブログから移転して、文章を書き続けた。

誰かの役に立とうなんて、思っていなかった。ただ、自分自身を慰めるために、励ますために、奮い立たせるために、書いた。

日本人が誰ひとりいない、という環境が、そうさせたのかもしれない。

そうしたら、冒頭に述べたように、何人もの人から、読んでよかったです、これからも書いてくださいって、言ってもらえるようになった。

僕は、自分に表現者としてのずば抜けた才能があるなんて、思っちゃいない。むしろ、最初の頃は、こんなヤツがこんなしょーもない誰の役にも立たない悩みを書きなぐってていいのか、そう思っていた。いや、今でもそう思うことがある。

読者の方からのメッセージは、そんな僕を、何度も勇気づけてくれた。お前は、文章を書いていいんだ。そう思えた。

そして、僕はブログを通してなら、誰かの役に立てる、僕と同じように悩み、考えている人たちの役に立ちたい、そう思うようになったのだ。

最終的に広告代理店に入りたいと思った理由も、ブログの延長線上にあった。それについては、この記事 広告業界にはなぜ合コン好きな人が多いのか の最後の方で書いているので、よかったら読んでみてほしい。



誰かの役に立ちたい、素直にそう思えない人へ。

きみは、おかしくなんかない。冷たいヤツだなんて、自分を責めなくていい。たとえ誰かが冷たいと言っても、僕だけは、絶対に冷たいなんて思わない。

人間は、みんな自分が一番大切だ。誰かのためと言って何か活動をしている人も、結局は、その活動で誰かが幸せになるのを見て、自分が嬉しい気持ちになりたいのだ。

誰かの役に立ちたいと思えないなら、自分の役に立てばいい。

僕と同じように、自分のために文章を書いてもいい。自分が日常生活で困ったことがあるなら、それを解決する方法を考えてもいい。

例えば、とある企業は食品のわかりやすいラベルをつくろうと日々努力している。それは、アレルギー体質だった社長さんが、いつでも食品のアレルギー成分を確認できるようにしようと思って、立ち上げた企業だ。

起業しろと言っているわけではない。

きみは特別な人間ではないから、きみが抱えている葛藤や問題意識は、きっと誰かも抱えているはずのものだ。

だからこそ、共感を呼ぶ。

それが突破口になる。いつか必ず、誰の役に立ちたいか、見えてくる。



来年からは僕は社会人になるわけだけど、どんなに忙しくなっても、ブログは書き続けるつもりだ。

今の課題としては、「より多くの人にブログを知ってもらうこと」がある。

個人のブログでも、「より深い共感を呼ぶこと」は可能だ。それは、僕が1年半ブログを書いてみてわかったことである。

しかし、「より多くの人に知ってもらうこと」は、個人で思いつくままにブログを更新していては、なかなかできない。

つまり、発信する際には、広く知らしめることと深く突き刺すことの2つを考える必要がある。前者について考えなければ、後者で救える人の数も限られてしまう。

「より多くの人に知ってもらうにはどうすればよいか」。それが、僕が広告代理店で学びたいことだ。

そういった課題に伴い、来年は、これまでとは少し毛色の違う記事を挙げていくかもしれない。まあ、どうなるかはわからないけど。



2013年は、いろいろとお世話になりました。

あらためて、これまでのすべての読者の方に、お礼申し上げます。

2014年も、Rail or Flyを、よろしくお願いします。

それではみなさん、よいお年を。