Rail or Fly

レールに乗るのか、飛び降りるのか、迷っているきみに届けたい。

はぐれた時の隙間ならきっとすぐ埋まるよ?ミスチル編

辛いことがあった日には、音楽を聴いて日本を思い出す。

初めてその曲を聴いた時のことが鮮やかに思い出されて、僕はしばし思い出に浸る。

音楽は心のタイムマシンとは、よく言ったものだ。



僕の音楽のルーツは、父親がよく聴いていたMr.Children。今でもバリバリ現役なのはすごいと思うけれども、"深海"の頃のどろどろした内向きな音楽を作らなくなって久しい。

なんていうか、今の桜井さんはもはや「仏」に近い気がしていて、「僕はなんて幸せなんだ!」という気持ちがびしばし伝わってくる(たまに'水上バス'みたいな初期っぽい切ないのもある)。それは"Q"とか"IT'S A WONDERFUL WORLD"の頃の「世界は素晴らしい」というメッセージともまた違う。あの頃はまだ深海の暗い影を引きずっていて、それでも自分に言い聞かせるように、「世界は素晴らしいのだ」と歌っていたように思う。

以前ちらっと書いたように、僕はミスチルの中期が大好きで、特に"深海"、"DISCOVERY"、"Q"、"IT'S A WONDERFUL WORLD"はもう言うことなしの名盤だと思っている。

全曲ノンストップで深く深く沈んでいき、海底で見つけた退廃的な幸せを歌う"深海"。'深海'が終わって最後に聴こえてくるダイビングのエアの音がさぁ…そこからまた沈むのか、それとも浮かび上がるのかって、示唆に富むよね。

暗く激しい前半から一転し、'終わりなき旅'→'Image'の最強コンボをラストに持ってくる"DISCOVERY"。大学受験の時、合格した後の帰り道でアルバムごと聴いて、ありふれた話だけど、「高ければ高い壁の方が」のところで快哉を叫んだよ。

一曲目から絶妙にねじれたコードでぐいぐいねじ込んでくる"Q"。このアルバムって変てこなんだよね。ミスチルってこんな気持ち悪い曲も作るんだ、みたいな新鮮な驚きがある。もちろん'安らげる場所'みたいな曲も健在なんだけど。

すべてが映画のような一連のシーンになって脳裏に映し出される"IT'S A WONDERFUL WORLD"。一番好きなアルバムかもしれない。これ!っていう曲はなくて、淡々とした日常を描くようなアルバム。説教くさくもなくて、透明感やばし。

全部のアルバムを含めてもう何回聴いたかわからないけれども、ミスチルっていうバンドの音楽の変遷を辿ると、けっこうおもしろい。最初はいかにもモテる男の青春ですね!みたいな曲をやってて('Children's World'とか'Another Mind'とか名曲ですけど)、'Innocent World'で大ヒット飛ばしてから次第に鬱っぽい路線に入っていく。個人的なことも関係してたのかもしれない。それからもう一度上を向いて、倒れて、今の「悟りの境地」に至る…って感じだろうか。

ミスチルは今ではあんまり聴かないけど、ふとした拍子に聴きたくなる。'ロードムービー'って曲が僕は大好きで、テンポよく鳴るグロッケンの音と、あくまでも静かに奏でられるエレキギターのソロが絶妙だと思う。



ぐだぐだすぎますがこんなもんで終わります。





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